仮説検証

未知を減らす仮説はどう立てるべきか

よい仮説は、期待する成功だけでなく、失敗したと判断する条件、競合仮説、必要な測定、次に行う実験を同時に定義します。

仮説カード

項目書くこと
主張何がどの条件で可能になると言っているのか。
観測量直接測る量、代理指標、推定量を分ける。
競合仮説同じ結果を別の仕組みで説明する候補を書く。
反証条件どの結果が出たら仮説を弱めるか。
次の実験候補を最も強く分離する測定、摂動、保持データを決める。

中心となる三つの確認

可観測性

必要な状態が測定に現れているかを問います。測定変数が多いことは、内部状態が一意に復元できることと同じではありません。

識別可能性

候補モデルや候補状態を区別できるかを問います。同じ出力を生む複数の内部状態が残るなら、主張は弱いままです。

外部検証

別データ、別実験者、別条件で結果が保たれるかを問います。内部の適合だけでは、研究課題として閉じません。

検証カードを引き継ぐ

日付付き補足として散らばっていた内容は、今後はカードとして扱います。カードは「何を主張してよいか」と「まだ上限を上げてはいけない理由」を同時に書くための形式です。実験計画にそのまま使う欄は、検証カードにまとめました。

カード使う場面必ず書くこと
可観測性予算測定変数を増やす研究。直接観測、代理観測、推定、未測定を分ける。
識別可能性カード逆問題、モデルフィット、デコード。同じ出力を生む競合モデル、対称性、再パラメータ化、保持データ。
Fusion CardEEG/fMRI/PET/MRSI などのマルチモーダル統合。共通因子、モダリティ固有因子、数量の違い、融合後に残る候補集合。
Human Proxy Composition Card生きた人間の複数 proxy を合成する主張。各 proxy の役割、取得負担、モデル負担、外部校正、最強単一行からの増分。
State-Continuity Bridge Card同じ被験者、同じ脳、日跨ぎ、固定後をつなぐ主張。運ばれる対象、証人、許容誤差、失敗規則、再調整負荷、救済ルート。
Destructive-Structure Route Card固定後 EM や破壊的な超微細構造測定。保存方法、遅延、登録範囲、校正、失われる状態、残せる主張。
Temporal Validity Card長期安定性、固定デコーダ、習慣化、睡眠を含む主張。時間窓、状態注釈、再校正、ドリフト、日跨ぎ転送の上限。
Body / Environment Boundary Card閉ループ、身体置換、環境相互作用。保存する入力、置換する出力、内受容、報酬、睡眠、恒常性の境界。
維持状態バジェットコネクトームに含められない遅い状態を扱う主張。状態ファミリー、時間窓、直接観測、proxy、摂動、棄権。
Neural Contribution Card言語、音声、運動、治療的 BCI のデコード。タスク制約、事前分布、脳なし対照、閉ループ、耐久性。
Calibration / Abstention Card不確実性が高い結果、閉ループ、予測集合、失敗時の停止。区間、校正分割、被覆率、棄権閾値、フォールバック。
L0 Artifact Pack公開データで再解析やベンチマークを始める段階。データ同一性、イベント忠実度、分割、ベースライン、系統、失敗例。

よい仮説と弱い仮説

よい仮説

  • 競合する内部状態説明を先に列挙します。
  • どの摂動で候補が分かれるかを指定します。
  • 別データや別日で残るかを評価します。
  • 失敗条件と棄権条件を公開します。

弱い仮説

  • 同じデータでスコアだけを上げます。
  • 相関を因果や同一性へ昇格します。
  • 複数 proxy を一つの真値のように合成します。
  • モデルに合ったことを復元成功と呼びます。