Roadmap (Definition #1)

技術ロードマップ:計測→再構成→実装でWBEを理解する

「何を解けたら前進か」を問いの木に分解し、読む順番と最低限の到達点を示す

Open Access Last Updated: 2026-02-14 暫定版(随時更新)

Summary

このページは、マインドアップロード研究の「地図」です。いきなり結論を目指すのではなく、何を測るか何を再現するかどう動かすかどう確かめるかを順番に整理します。つまり、計測 → 再構成 → 実装 → 検証 → 社会実装の流れで「今どこまで進んだか」を見える化するページです。

新しく来た人へ

このページは情報量が多いので、先に WBE入門EEG入門(必要なら 用語集)を読むと理解が早いです。

How to Use

このページは“本”ではなく、研究全体像の地図です。まず「問いの木」を通読し、次に「学習の順序」に沿って各ノードを深掘りしてください。重要な運用ルールは2つだけです:(1) 出典リンクを残す(2) 暫定(不確実性)を明示する

索引(キーワード→QA)

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使い方

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クイック索引

カテゴリ別QA索引(全件)

Meta(前進の定義)
Measurement(計測)
Reconstruction(再構成)
Implementation(実装)
Verification(検証)
Deployment(社会実装)

前進の定義(最初に固定する)

“前進”を主張するには、何を再現できたら勝ちか(=評価軸)と、何が起きたら負けか(=反証条件)を先に決める必要があります。ここでは、その前提となる問いを3つに圧縮します。

P0 「マインドアップロード」の操作的定義は?(何を再現する?) META

問い:“mind uploading / WBE”を、このサイトでは何として扱うか?(外から見える行動だけか/内部の因果構造か/本人性や意識まで含むか)

分岐(例):(A) 行動・機能の再現(ブラックボックス同等) / (B) 神経ダイナミクスの再現(中身重視) / (C) 本人性・主観の継続まで含む(強い主張)

反証可能性:定義が曖昧なまま成果を語ると、評価が“後付け”になり、進捗の比較が不可能になる

次に必要:このページ内の「検証」ノードで、(A)(B)(C)それぞれの測れる基準負け条件を確定する

P1 主張レベル(クレーム階段)をどこに置く? META

問い:研究成果を、どのレベルまで到達したら「前進」と言うか?

  • L0:データ収集と再現可能な解析(標準化・品質管理・追試可能性)
  • L1:デコーディング/エンコーディング(神経→行動/刺激、または逆の予測)
  • L2:生成モデル(未学習条件でも神経/行動を外挿し、介入予測ができる)
  • L3:閉ループ実装(リアルタイムに環境と相互作用して安定に動く)
  • L4:本人性の主張(記憶・価値観・学習の連続性を、事前登録した基準で評価)
  • L5:社会実装(権利・安全・ガバナンスが技術と同時に成立)

反証可能性:“L1の達成”を“L4の達成”のように語る(スコープのすり替え)を防ぐ

次に必要:各レベルの「必要データ」「必要モデル」「評価スイート」を、このページで対応づける

P2 最低限の成果物は何?(データ・コード・評価・監査) META

問い:“前進”を再現可能にするため、何を必ず残すべきか?

  • データ:生データ+メタデータ(BIDS等)+匿名化/同意ログ
  • コード:固定バージョンの解析パイプライン(環境・依存関係込み)
  • 評価:事前登録した指標・テスト・ベースライン比較
  • 監査:モデル差分、再現実行ログ、失敗例(ネガティブ結果)

反証可能性:成果の“見せ方”だけが先行し、検証不能な主張になる

次に必要:Mind-UploadでまずL0-L2の成果物テンプレ(データ構造・評価スクリプト)を固める

問いの木(詳細版:1ページに集約)

以下に、技術面の問いを「計測→再構成→実装→検証→社会実装」に分解して、1ページに全部まとめます。各項目は折りたたみ(クリックで展開)です。

1. Measurement

計測:どの解像度が必要?

中心問い:「脳の何を、どの時空間解像度で取れば、“復元すべき対象”が一意に近づくか?」

M0 計測の前提:in vivo / 侵襲 / 破壊スキャンのどれを想定? MEASUREMENT

問い:安全・スケールの制約を踏まえ、どの計測路線で"何を目指すか"を固定する。

分岐(例):(A) 非侵襲(EEG/MEG/fMRI)でモデルを鍛える / (B) 侵襲(ECoG/深部/動物)で因果推論を強化 / (C) 破壊的・超高解像度で構造を取る(将来像)

反証条件:目的(復元対象)が定義されないまま、計測だけ“高級化”しても同定不能になる

次に必要:このページ内のR0(復元対象)とV0(検証基準)を先に確定する

M1 観測変数:電気(EEG)/血流(fMRI)/スパイク(侵襲)で何が違う? EEGFMRI

問い:観測が変わると「復元できる対象(構造/状態/学習則)」が変わる。どの観測で何が識別可能か?

論点:時系列の速さ・空間分解能・因果介入のしやすさ・全脳カバレッジ・コスト

次に必要:同一の課題・同一個体で、マルチモーダル同時計測(可能な範囲)+位置合わせ(M5)

M2 時間解像度の下限:どの時間スケールを“保存”すべき? RESOLUTION

問い:認知・学習・意識に関係する現象を壊さないために、必要な時間分解能はどこか?

  • 候補:ms(スパイク/位相)・10-100ms(結合ダイナミクス)・秒(状態遷移)・分〜日(学習/可塑性)
  • 反証条件:粗すぎる時間分解能で、介入応答や閉ループ制御が再現できない
  • 次に必要:閉ループ課題(I1)で許容遅延を測り、必要サンプリングを逆算する
位相同期コヒーレンス維持限界(Phase Synchronization Coherence Limit)

WBEにおける「プロセスの同期」要件は、単純な遅延閾値(例:10ms)では不十分である。特にガンマ帯域(30–80Hz)における高精度な位相同期は、ミリ秒単位のジッタによって容易に破壊される(Vinck et al., 2011)。したがって、WBEにおける因果構造の保存には以下の厳格な要件を設定する:

  • ジッタ許容:1ms以下(ガンマ帯域の1周期 ≈ 12–33ms に対し、位相誤差を最小化するため)
  • 同期精度:マイクロ秒単位の計測同期(LSLのtime_correctionを超えるハードウェアレベルの同期設計)
  • 遅延モニタリング:閉ループ遅延をリアルタイムで監視し、位相コヒーレンスの崩壊をオンラインで検出する仕組み

これらの要件は、現在のLSL(Lab Streaming Layer)が提供する同期精度を超える場合があり、将来的にはハードウェアレベルでの同期設計が必要になる可能性を示唆する。

M3 空間解像度の下限:どの粒度(領域/カラム/ニューロン/シナプス)を目指す? RESOLUTION

問い:“本人の心的機能”に必要な情報が、どの空間粒度に宿ると仮定するか?

分岐(例):(A) 領域間結合+状態で十分 / (B) 局所回路まで必要 / (C) シナプス結合まで必要

次に必要:仮定(A)(B)(C)ごとに、観測可能性(M1)と計算可能性(I3)を評価する

M4 全脳カバレッジ:どこまで“全体”を測る必要がある? COVERAGE

問い:限られた計測で、“境界(何が主体に含まれるか)”をどう扱うか?

次に必要:検証(V0)で「主体の境界」を操作的に置き、必要領域と不要領域を明文化する

M5 マルチモーダル統合:位置合わせ(MRI/EEG/fMRI)をどう保証する? FUSIONMRI

問い:異なる計測は座標系・遅延・ノイズ構造が違う。統合の誤差が“学習したい信号”を壊していないか?

反証条件:位置合わせ誤差で再構成(R2)が不安定になり、再現性(P2)が落ちる

次に必要:同一データに対し複数パイプラインで一致するか(解析差分監査)

M6 介入・刺激:同定可能性を上げる“実験デザイン”は? CAUSAL

問い:受動観測だけでは同定できない時、どんな介入(刺激/課題/環境変化)を入れると識別可能性が上がるか?

次に必要:モデル(R4)側で「この介入があると識別できる」という設計逆算をする

M7 縦断:日内/日間変動に対して“本人性特徴”は安定か? LONGITUDINAL

問い:同一個体でも脳状態は揺れる。どの特徴が“本人らしさ”として頑健か?

反証条件:再現できるのが“その日の状態”に限られ、長期の同一性評価(V5)ができない

次に必要:同一被験者の複数セッションで、事前定義の同定スコア(V1)を追跡する

M8 品質管理:アーチファクト/欠損/ノイズをどう“定量化”して扱う? QC

問い:“良いデータ”の定義を事前に置き、除外・補完・重み付けを透明にする。加えて、インピーダンス/CMRR・ノイズフロア・HMD干渉など、ハードウェア由来の品質劣化をどう定量化するか?

  • インピーダンス/CMRR: バランス崩壊を検出し、計測前に警告する。
  • ノイズフロア/SNR: 周波数帯ごとの実効SNRを可視化する。
  • VR干渉: HMDの電磁・機械ノイズをプロファイル化する。
M9 標準化:BIDS/メタデータで“他人が追試できる”形にするには? BIDS

問い:データが共有可能でも、メタデータが薄いと追試できない。何を最低限メタデータ化するか?

補足 (Issue #46): VR/モーション計測を含む場合はMotion-BIDSに合わせ、座標系・時間同期・デバイス仕様を明記する。

次に必要:プロトコル(課題・機器・前処理)を機械可読で残す(P2)

2. Reconstruction

再構成:何を復元する?(回路 / 状態 / 学習則)

中心問い:「“本人の心的機能”に必要なのは、構造(結合)・動的状態(活動)・学習則(可塑性)のどこまでか?」

R0 復元対象の最小セットは?(構造/状態/学習則) RECONSTRUCTION

問い:どこまで復元すれば、検証(V0)で勝ちに行けるか?

分岐(例):(A) 構造+状態(固定) / (B) 構造+状態+一部可塑性 / (C) 可塑性まで含むフル動的

反証条件:(A)で閉ループ学習(I5)が再現不能、(B)(C)で同定不能・過学習で破綻

次に必要:同定可能性(R7)と計算可能性(I3)を同時に評価する

R1 逆問題:観測(M1)から何が一意に推定できる? INVERSEBAYES

問い:EEGソース推定のような逆問題は、解が一意に定まらない“不良設定問題(ill-posed problem)”である。点推定(ひとつの解を求めること)は科学的に誤解を招く可能性があるため、本プロジェクトではベイズ的アプローチを原則とする

方針:解を事後確率分布として捉え、その不確実性自体を後段の解析(因果モデリング等)に引き継ぐ。これにより、推定の曖昧さを考慮した、より頑健な結論を目指す。

次に必要:推定結果の不確実性(R7)と、仮定(事前分布)を変えた時の感度分析(監査ログ)

R2 ソース推定:EEGから“どの表現”の脳活動が欲しい? EEGESIBAYES

問い:EEGソース推定は「領域×時間」の表現を得やすいが、ニューロン/シナプスは直接は見えない。復元対象(R0)に合わせて表現を選ぶ。

課題:従来は「高密度EEG(128ch)化」が推奨されてきたが、近年の研究はチャンネル数だけでは不良設定性(ill-posedness)を解決できないことを示している。特に、dSPMのような点推定法は不確実性を無視してしまう。

階層的ベイズモデルと高解像度計測の統合:Block-Champagne系の手法(Cai et al., 2021; Sechet et al., 2025)を採用し、超高密度EEG(High-density EEG, 256ch以上)個体別MRIに基づく有限要素法(FEM)フォワードモデルの導入を必須化する。これにより深部脳活動の推定精度を担保する。さらに、ノイズ推定の頑健化研究(doi:10.1016/j.neuroimage.2020.117411, doi:10.1109/SAMPTA64769.2025.11133512)で示される条件変動への対応として、適応的ベイズ更新(Adaptive Bayesian Updating)を実装し、推定された脳活動マップには必ず信頼区間(Credible Intervals)を付随させる。

次に必要:`mind-upload/02_source_imaging.py` に変分ベイズ(Variational Bayesian)アプローチを実装し、不確実性を考慮したソース再構成を行う (✅ Implemented in Issue #43)

R3 状態推定:潜在状態(latent)をどう定義し、どう検証する? STATE

問い:観測ノイズと真の状態を分離し、状態が“予測に効いている”ことを示せるか?

反証条件:潜在状態がデータの圧縮にしかなっておらず、介入予測(R4)に寄与しない

次に必要:未学習条件での外挿と、介入応答の予測誤差を評価する

R4 因果:介入に対する反応を予測できるモデルは何? CAUSALMULTI-SCALE

問い:相関の当てはめではなく、刺激/操作に対して“どう変わるはずか”を言えるか? デコーディング(相関)からエミュレーション(因果)への飛躍をどう埋めるか?

方針:脳を能動的推論(Active Inference)を行う生成モデルとして定式化する。Laukkonen et al. (2025) の「反実仮想的等価性(Counterfactual Equivalence)」を指標とするが、EEG単体では解像度が不足する。

改善策(Multi-scale):EEGから推定されたマクロな因果構造を、ミクロな神経回路シミュレーション(Blue Brain Project等)の制約条件として用いる「マルチスケール因果モデリング」を採用する。トップダウン(EEG)とボトムアップ(回路)の統合により、シナプスレベルの可塑性を反映した頑健なモデルを目指す。

実装の厳密化 (Issue #52): 逆問題(R1/R2)で得られた事後確率分布の分散(不確実性)を、Active Inferenceにおける精度(Precision, 逆分散)として明示的に伝播させる。単なる点推定値の入力ではなく、不確実性が予測誤差の重み付け(カルマンゲイン)を制御するメカニズムを実装する。

次に必要:介入前提の評価タスク(V2)と、マルチスケール統合パイプラインの設計

R5 可塑性:学習則を“入れる/入れない”の境界は? PLASTICITY

問い:長期の本人性(V5)を扱うなら、学習(更新)を入れざるを得ない。だが更新を入れると検証が難しくなる。

分岐(例):(A) 学習しない(固定モデル) / (B) 制限付きで学習(安全な更新) / (C) 学習則まで推定

次に必要:学習を入れた時のドリフト監視(V4)と、安全策(I8)

R6 個人化:一般モデル+個人パラメータ?それとも完全に個人別? PERSONALIZATION

問い:“本人性”を議論するなら個人化は避けられない。一方で、個人化しすぎると過学習と再現性が壊れる。

次に必要:個人内/個人間の性能分解(どこが個人差か)を評価指標に入れる

R7 同定可能性:推定は“唯一解”に近づく?不確実性は? IDENTIFIABILITY

問い:同じ観測を説明する別モデルが無数にある時、どの仮定で絞り込むか?不確実性をどう表現するか?

反証条件:小さな前処理差で結果が大きく変わり、再現(P2)できない

次に必要:事前分布/正則化を明示し、感度分析で“頑健な結論だけ”採用する

R8 圧縮:どの情報を捨てても“検証基準”は保てる? COMPRESSION

問い:WBEは“全部保存”が理想だが現実的でない。評価(V0)を満たす最小表現を探せるか?

次に必要:圧縮率を変えて、評価スイートの性能がどこで崩れるかを測る

R9 監査:モデル差分と失敗例を“残す仕組み”は? AUDIT

問い:更新のたびに結論が変わる領域だからこそ、差分・失敗・ネガティブ結果を残す必要がある。

次に必要:モデル/データ/評価のバージョンを結びつけ、再実行で再現できる形にする(P2)

R10 神経修飾:気分や覚醒度(Volume Transmission)をどう組み込む? NEUROMODULATION

問い:シナプス結合(Wiring Transmission)だけでは、ドーパミンやセロトニンによる全脳的な「ムード」「学習率」の変化を再現できない。

解決策:アーキテクチャに「Neuromodulation-aware Layers(神経修飾層)」を追加する。これは、入力応答ゲイン(活性化関数の傾き)や可塑性(学習率)を動的に制御するメタパラメータとして機能する。

次に必要:瞳孔径や心拍変動などの生理指標を、脳幹アミン系活動のプロキシとしてモデルに入力する(M1/M8)

3. Implementation

実装:どの基盤で?リアルタイム性は?

中心問い:「復元したモデルを、どの計算基盤(HPC/クラウド/ニューロモーフィック/ハイブリッド)で動かすか?閉ループ(身体・環境)に入れられるか?」

I0 実行基盤:汎用計算/GPU/HPC/ニューロモーフィックのどれを狙う? IMPLEMENTATION

問い:復元対象(R0)に対して、実装基盤は“十分な忠実度”と“現実的コスト”を両立できるか?

次に必要:モデル粒度(I2)と計算量(I3)をセットで見積もる

I10 時間連続性:離散時間(RNN)と連続時間(ODE)のどちらを選ぶ? NEURAL-ODEDYNAMICS

問い:生物学的脳は連続時間で動作するが、標準的なRNN/Transformerは離散時間である。このギャップがダイナミクスの歪みを生む。

提案:実装フレームワークとしてNeural ODEs (Neural Ordinary Differential Equations) または CTRNNs を採用する。$\frac{dh(t)}{dt} = f(h(t), t, \theta)$ としてモデル化することで、任意の時間分解能でのサンプリングと、随伴変数法(Adjoint Method)によるメモリ効率の良い学習が可能になる。

次に必要:EEG(ミリ秒)とfMRI(秒)の異なるタイムスケールを、同一の微分方程式系で統合する

I1 閉ループ:リアルタイムに何msの遅延まで許される? REALTIME

問い:“本人らしさ”を評価するなら、環境との相互作用(遅延・ノイズ)が本質になる。許容遅延は課題依存。

補足 (Issue #46): CLETなどのフォトダイオード計測でEnd-to-End遅延とジッタを実測し、LSLのtime_correctionでドリフト補正を標準化する。

次に必要:評価スイート(V1)側で、遅延/ノイズ耐性を測る項目を入れる

I2 モデル粒度:スパイキング/レート/抽象のどこで戦う? GRANULARITY

問い:粒度を上げるほど忠実度は上がる(仮)一方で、同定(R7)と計算(I3)が壊れる。勝てる粒度はどこか?

次に必要:粒度ごとに「必要計測(M2/M3)」「必要計算(I3)」「通る評価(V0)」を対応づける

I3 計算量:メモリ/電力/並列化のボトルネックはどこ? SCALING

問い:モデルの忠実度を上げると、計算資源が爆発する。どこで近似・圧縮(R8)するか?

次に必要:評価スイートの性能を落とさずに圧縮できる境界を測る

I4 初期化:モデルの“初期状態”をどう与える? INITIALIZATION

問い:同じ構造でも初期状態が違えば振る舞いが違う。計測(M7)のどの時点を“スタート”にする?

反証条件:初期化の任意性で結果が揺れて、本人性評価(V5)が成立しない

次に必要:初期化手順を固定し、初期化に対する感度(頑健性)を測る

I5 学習とドリフト:学習させるなら“安全な更新”をどう設計する? LEARNING

問い:学習(R5)を許すと、本人性(V5)と安全(D2)が絡む。更新をどう監視し、どこで止めるか?

次に必要:ドリフト指標(V4)+キルスイッチ/隔離(I8)

I6 身体性:入力/出力(センサー/運動/言語)をどこまで持たせる? EMBODIMENT

問い:閉ループ検証(I1/V1)には、環境と身体(あるいはその代替)が必要。最小の身体性は何か?

次に必要:環境(VR/ゲーム/対話)を固定し、同一条件で追試可能な評価を設計する

I7 再現性:実装差(言語/ハード)で結果が変わらない保証は? REPRO

問い:“同じモデル”でも数値誤差や並列順序で挙動が変わる。どこまで決定性を要求するか?

次に必要:固定乱数・固定環境・差分テスト(P2)で、許容誤差内に収まるか検証する

I8 安全:隔離・監視・停止(containment)をどう作る? SAFETY

問い:強い主張(P1のL4-L5)に近づくほど、安全が技術要件になる。

次に必要:隔離環境、監視指標、停止プロトコルの3点セットを、L3以降の実装計画に含める

I9 熱力学:デジタル基盤で“意識の物理的コスト”を払えるか? THERMODYNAMICSIIT

問い:現在のノイマン型コンピュータは物理的因果力を抽象化しているため、IIT 4.0の観点ではΦ=0(Unfolding Argument)となる可能性がある。また、生物学的脳の「非平衡定常状態(NESS)」としての散逸構造をどう模倣するか?

方針(Issue #58 Update):物理的実装(ニューロモルフィック)への完全移行までの過渡期として、「仮想散逸プロトコル(Virtual Dissipation Protocol)」を実装する。Landauer限界は論理的不可逆性の下限であり、物理的不可逆性(NESS)を別途保証する必要がある。 1. Entropy Production Rate (EPR): 時間反転対称性の破れを定量化し、不可逆なエントロピー生成をシミュレーション内で強制する。 2. Metabolic Flux: 計算の有無に関わらず、構造維持のために消費される仮想エネルギー流(Metabolic Overhead)を定義する。 これにより、デジタルエミュレーションであっても「存在し続けるためにコストを払う」散逸構造としての性質を保持させる。

厳密化 (Issue #52): IITの「内因的実在」の工学的近似として、単なる「計算の連続性」ではなく、「計算論的不可逆性 (Computational Irreversibility)」を採用する。非平衡定常状態の統計力学に基づき、単位時間あたりの最小情報処理コストが生物学的基盤の熱力学的効率と一致することを検証条件とする。

次に必要:EPR > 0 を維持しつつ、論理的計算を行うアルゴリズムの定式化

エネルギー効率KPI(Issues #253/#254):生体脳のエネルギー消費(約20W)に対するエミュレーションの仮想エネルギー流の比率をKPI化する。Niven & Laughlin (2008) の報告によれば、ヒト大脳皮質では計算よりも通信に35倍多くのエネルギーが消費される。この生物学的特性をデジタルエミュレーションで再現し、「通信:計算」のエネルギー消費比率が生体脳と同等であることを検証条件の一つとする。さらに、DNNのエネルギー使用に関する熱力学的限界の研究(Balaji et al., 2025)との整合性を確認する。

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4. Verification

検証:何を満たせば「同じ」と言える?

中心問い:「同一性/意識/行動のうち、技術的に検証可能な基準をどう定義し、反証条件をどう置くか?」

V0 検証対象:同一性・意識・行動のどれを“工学的に”検証する? VERIFICATION

問い:検証できない(測れない)ものを、検証したことにはできない。何を“測れる成功条件”に落とすか?

分岐(例):(A) 行動・能力の同等性 / (B) 介入応答の同等性 / (C) 自伝的記憶や価値観の連続性(要注意)

次に必要:V1で評価スイートを事前登録し、P1のクレーム階段と対応づける

V1 評価スイート:何を測れば“前進”と言える?(事前登録) BENCHMARK

問い:タスク・指標・ベースライン・統計・失敗条件を事前に固定する。

  • 行動:未学習タスクでの一般化、反応時間/誤り、学習曲線
  • 神経:状態遷移、スペクトル特徴、ネットワーク指標、介入応答
  • 本人性(暫定):自伝的記憶の整合、選好の安定、自己モデルの一貫性

次に必要:まずはL0-L2向けに“小さくても追試可能”なスイートを作る

V2 因果テスト:刺激/介入で“同じ反応”を出せるか? CAUSAL

問い:相関一致は“似せた”だけでも達成できる。介入に対して一致するかが強い検証になる。

次に必要:M6(介入設計)とR4(因果モデル)を繋いだ評価項目を作る

V3 一般化:分布外(OOD)でも“本人らしさ”は保てる? OOD

問い:訓練と同じ条件でしか動かないなら、アップロードではなく“再生”に近い。新規状況での一貫性を測る。

次に必要:未学習課題・環境変化・ノイズ条件での性能劣化曲線を定義する

V4 長期:学習・ドリフト・忘却の扱いをどう評価する? LONGITUDINAL

問い:学習させるほど、元の本人と乖離する可能性も増える。変化を“許容”する範囲を定義する。

次に必要:セッション間の同一性指標(M7)+更新ログ(P2)

V5 本人性:心理的連続性を超えた“因果的同一性”とは? IDENTITYLEGAL

問い:記憶や性格の類似(心理的連続性)だけでは、コピーや模倣(LLM)と区別がつかない。より厳密な工学的定義が必要である。

  • 新基準:因果的同一性(Causal Identity): パーフィットの心理説を拡張し、システムの「未来の予測能力(Active Inference の精度)」が生物学的脳と統計的に区別不能であることを同一性の条件とする。
  • 指標:チューリング・テストを拡張した「因果的摂動プロトコル(Causal Perturbation Protocol)」を実行する。TMS等による物理的摂動に対する生物学的脳の反応と、エミュレーション上の仮想的摂動に対する反応の統計的同一性を検証する指標(例:Perturbational Complexity Index, PCI)を導入し、動的な因果構造の一致を確認する。
  • 反証条件:記憶は持っているが、新規環境に対する適応・予測パターンがオリジナルと乖離する(ゾンビ/模倣者)
  • 次に必要:V8の「模倣との区別」テストにおいて、予測精度をコア指標に据える
V6 意識:理論に依存した予測を、どこまで“検証可能”にできる? CONSCIOUSNESS

問い:意識は直接観測できない。理論(IIT/GNWT等)が出す“予測の差”を、計測(M)と介入(M6/V2)で検証できるか?

  • IIT 4.0の計算量問題と構造保存 (Issue #52): 厳密なΦ計算は不可能だが、PCI-STのような相関指標だけでは不十分である。プロジェクトは「因果構造の保存 (Causal Structure Preservation)」をL3/L4レベルの要件とし、特定のサブシステムにおける因果構造の一致を検証する。補助指標として部分系Φ・上下界評価・ΦIDなどの近似を採用する。
  • 識別可能性の壁 (The Identifiability Wall): 反実仮想的等価性(Laukkonen et al., 2025)は、観測データだけでは一意に定まらない。検証には「最小分岐セット (Minimal Set of Branching Structures)」を定義し、予測符号化課題における神経ダイナミクスの分岐分布(Kullback-Leibler Divergence)を用いて統計的に評価する。
  • マルコフブランケット境界条件の厳密化 (Issue #52): 境界条件(帯域幅・遅延)は固定値(例:10ms)ではなく、脳領域間の機能的結合の時定数(例:ガンマ帯域位相結合 ~25-100ms)や認知課題の反応時間Jitterに基づいて、動的かつ文脈依存的に定義する。

注意:理論はあくまで仮説生成のツールとして扱い、実装(WBE)の成否は「特定の理論に適合するか」ではなく、V2(因果)やV5(本人性)といった実証的指標で判断する。

V7 コピー/分岐:複数インスタンスが走ったら“本人”はどう扱う? BRANCHING

問い:工学的には複製が容易。検証の設計も、分岐を前提にしないと破綻する。

次に必要:個体ID・版管理(P2)を、本人性評価(V5)と結びつける

V8 LLM/模倣との区別:外形が似ていても“中身が違う”をどう判定する? DISAMBIGUATION

問い:会話や報告は模倣されやすい。区別には、介入応答・閉ループ・内部状態の整合が必要になる。

次に必要:V2(介入)+I1(閉ループ)+R4(因果)を組み合わせた“逃げ道の少ない”評価

V9 追試:第三者が“同じ結論”に到達できる設計になっている? REPRO

問い:研究の最短距離は“他人が追試できる”状態を作ること。本人性の議論ほど追試性が重要になる。

次に必要:P2(成果物)を満たす範囲で、データ/コード/評価を公開可能に整える

V10 モデル距離:生体脳とエミュレーションの“近さ”をどう測る? METRICMATH

問い:パラメータ空間での単純なユークリッド距離は、モデルの機能的な振る舞いの違いを反映しないことが多い。より本質的な「振る舞いの近さ」をどう定量化するか?

方針:情報幾何学的指標 (Information Geometric Metrics) を採用する。特にフィッシャー情報量 (Fisher Information) は、パラメータの変化が確率分布(モデルの出力)に与える影響の大きさを表すため、これを計量(Metric)として用いることで、生物学的脳とエミュレートされた生成モデルの間の機能的な距離を厳密に定義できる。

次に必要:Fisher Information Metric (FIM) を用いたモデル間距離の計算モジュールを実装し、V2(因果テスト)の定量評価に組み込む

V11 トポロジー:意識の“構造”は保存されているか? TDAGEOMETRY

問い:PCI(複雑性)などのスカラー値だけでは、意識の「質的な構造(Qualitative Structure)」が同じかどうかわからない。

提案:検証指標として位相的データ解析(TDA)、特にパーシステント・ホモロジー(Persistent Homology)を導入する。神経活動多様体(Neural Manifold)の「穴(サイクル)」や連結成分の数(ベッティ数)を比較することで、動的なアトラクタ構造の同一性を幾何学的に保証する。

次に必要:パーシステンス図(Persistence Diagrams)を用いて、生体脳とエミュレーションの間のトポロジー距離(Bottleneck distance等)を計測する

5. Deployment & Governance

社会実装:技術を越えて何が必要か?

中心問い:「L5(社会実装)に向けて、技術以外にどのような制度・倫理・法的基盤が必要か?」

D0 倫理的フレームワーク:エミュレートされた存在の権利は? ETHICS

問い:WBEが成功した場合、エミュレーションは権利主体か?停止は「死」か?複製は「出生」か?

現状:EU AI Act、米国MIND Act(2025提案)等で神経データ保護の枠組みが整備されつつあるが、WBE固有の課題(複製、停止、改変)には対応していない。

次に必要:技術的検証(L0-L2)と並行して、倫理レビュー委員会の設計指針を策定する

D1 同意と撤回:本人のインフォームドコンセントをどう設計する? CONSENT

問い:WBEプロセスへの同意は事前に与えられるが、プロセス中やプロセス後の撤回権をどう保証するか?

次に必要:段階的同意モデル(各フェーズでの再同意)と、停止権の工学的実装を設計する

D2 アクセスと公正:誰がWBEにアクセスできるべきか? EQUITY

問い:WBEが実現した場合、富裕層のみが「不死」にアクセスできる格差問題をどう扱うか?

次に必要:検証基盤(Verification Commons)のオープンアクセス設計を、格差防止の第一歩として位置づける

D3 安全保障:悪用リスクと制御をどう設計する? SECURITY

問い:エミュレーションの改変、強制的な精神操作、軍事利用等のリスクにどう対処するか?

次に必要:I8(containment)の設計と連動し、アクセス制御・改変監査・停止権の技術的保証を設計する

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未解決問題の定義カタログ(厳密版)

ここでは「未解決」を曖昧語にせず、何が入力で、何を出力し、どの条件で合格/失敗かを定義します。先行研究が厚くても、判定条件が曖昧なら研究は積み上がりません。逆に、定義が厳密なら小さな前進を確実に蓄積できます。

ID 未解決問題の定義(厳密化) 既存到達点 未解決境界(次に詰める点)
U0 操作的同一性: 介入集合Iと時間窓Tに対し、生体系とモデル系の条件付き分布差が閾値以下であることを「同一」と定義できるか。 V0/V5で枠組み定義あり。心理的連続性と因果同一性の区別を導入済み。 介入集合Iの最小完備条件、閾値設定、事前登録ルールが未確定。
U1 逆問題の同定可能性: 観測yから潜在源xを推定する際、事後分布の集中度で「唯一解に近い」を定量化できるか。 R2で不確実性付き推定(Issue #43)。 前向きモデル誤差(導電率・形状)込みの全体同定可能性が未検証。
U2 時空間解像度の下限: 認知・学習・介入応答を壊さない最小の時間/空間分解能を課題別に定義できるか。 M2/M3で論点整理済み。 閉ループ課題での実測境界(遅延許容量・粒度崩壊点)が不足。
U3 主体境界(Boundary): 主体に含める生理・神経・環境要素の最小集合を、検証可能な操作定義で固定できるか。 Issue #12でハイブリッド計測プロトコルを整備。 境界変更時にV5判定がどれだけ変動するかの感度分析が未了。
U4 因果同値(Counterfactual Equivalence): 観測一致ではなく介入分岐の予測一致で同値判定できるか。 R4/V2/V6で理論的方針を明示。 反実仮想生成器、偽介入ベースライン、停止規則の実装が不足。
U5 学習則と本人性ドリフト: 学習更新を許した場合、どの程度の表現変化まで同一性を維持とみなすか。 R5/V4で問題提起済み。 更新規則ごとの許容ドリフト閾値とキルスイッチ条件が未定義。
U6 個人化と汎化の分離: 個人固有パラメータと課題共通パラメータを同定し、過学習を回避できるか。 R6で評価方針を提示。 個人内/個人間分解を行う標準ベンチと検定計画が不足。
U7 マルチモーダル整合: EEG/fMRI/行動/生理を統合したとき、座標・遅延・ノイズ差を監査可能に保てるか。 M5/M9で要件化、Motion-BIDS方針(Issue #46)。 同一データで複数統合パイプラインの一致率評価が未整備。
U8 閉ループ安定性: 遅延・ノイズ・環境変動下で、モデルが破綻せず制御可能か。 I1/I6で要件整理。 遅延とジッタの実測に基づく安全運転領域の同定が不足。
U9 OOD頑健性: 未学習環境・新規課題・雑音条件で同一性指標を維持できるか。 V3で問題を明確化。 劣化曲線の標準化(どの速度で崩れるか)が未確立。
U10 熱力学的一貫性: 情報処理が物理的不可逆性・散逸制約を満たす実装条件を定式化できるか。 I9とIssue #58/#61/#62で理論整理が進展。 測定可能な実験指標(散逸率・因果密度・効率)の統一が未了。
U11 IIT近似の妥当性: 厳密計算不能なΦを近似指標で置換したとき、何が保存され何が失われるか。 V6で部分系Φ/上下界/PCI系の併用方針。 近似間の序列保存性と誤判定率の比較試験が不足。
U12 分岐本人性(多重インスタンス): 複数分岐後の個体ID・責任・評価帰属をどう扱うか。 V7で版管理の必要性を明示。 分岐時点と評価期間を固定した制度設計が未着手。
U13 模倣分離テスト: 振る舞い模倣(LLM型)と因果構造保存を実験的に区別できるか。 Issue #10で3軸ベンチマーク、V8で統合方針。 介入・閉ループ・内部状態整合を同時に課すテスト群が不足。
U14 追試可能性の実装: 第三者が同じデータ・手順で同一結論に到達できる運用を固定できるか。 P2/V9で必要条件は整理済み。 実行環境・差分ログ・失敗例公開の運用フローが不完全。
U15 社会実装ガバナンス: 権利・同意・責任分配を技術評価と同期させて設計できるか。 D0-D2で論点抽出済み。 技術KPIと制度KPIの連動ルール(中止基準含む)が未定義。
判定ルール

上のU0-U15は「良いアイデア」ではなく「反証可能な研究問題」です。各問題は、入力・出力・評価指標・失敗条件がそろって初めて「解いた」と判定します。

最重要3課題の追加分解(さらに深く)

A

U4 因果同値

  • 介入辞書(刺激・課題・薬理)の最小完備集合をどう作るか。
  • 反実仮想一致度(KL, JS, FIMなど)の閾値をどう校正するか。
  • 偽介入・シャム条件で過大評価をどう抑えるか。
  • 失敗時停止規則(Stop Rule)をどう事前登録するか。
B

U10 熱力学的一貫性

  • 情報処理の散逸率をどの時間窓で測るか。
  • 物理的不可逆性と計算論的不可逆性の差をどう扱うか。
  • 実装基盤が変わっても比較可能な共通指標を作れるか。
  • エネルギー効率と因果性能のトレードオフをどう最適化するか。
C

U12 分岐本人性

  • 分岐時点の定義(初期条件固定)をどこに置くか。
  • 分岐後の評価帰属期間をどう設定するか。
  • 複数分岐がある場合の責任分配と監査IDをどう管理するか。
  • 法的主体性と技術的同一性の不一致をどう扱うか。

先行研究マップ(重点領域別)

未解決問題を解くために必要な先行研究を、分野別に整理します。目的は「文献の羅列」ではなく、どの問題に、どの証拠が効くかを明確にすることです。

領域 代表先行研究(抜粋) U0-U15への寄与
WBE基礎・本人性 Sandberg & Bostrom (2008), Yamakawa et al. (2024), Parfit (1984), Clowes (2021), Weber (2025) U0, U12, U15
意識理論と検証 Tononi (2015), Tononi et al. (2016), Albantakis et al. (2023), Doerig et al. (2019), Ferrante et al. (2025), Casali et al. (2013), Comolatti et al. (2019) U0, U4, U11
EEG/MEG逆問題 Michel & Brunet (2019), Wipf & Nagarajan (2009), Cai et al. (2021), Sechet et al. (2025), Vorwerk et al. (2014), Medani et al. (2025) U1, U2, U7
前処理・同期・接続性 Chang et al. (2018), de Cheveigne (2020), Vinck et al. (2011), Staniek & Lehnertz (2008), Kothe et al. (2025) U1, U7, U8, U14
デコーディング Huth et al. (2016), Tang et al. (2023), Horikawa et al. (2025), Ji et al. (2023) U4, U9, U13
因果・能動的推論 Friston et al. (2003), Friston (2010), Friston (2017), Parr & Friston (2019), Laukkonen et al. (2025), Correa et al. (2021) U4, U5, U9
生物学的制約 Cook et al. (2019), Scheffer et al. (2020), Kasthuri et al. (2015), Santello et al. (2019), Ozcete et al. (2024), Gamlin et al. (2025) U2, U3, U6, U7
計測拡張(OPM等) Boto et al. (2018), Logothetis (2008), Purdon et al. (2013) U2, U7, U8
標準化・再現性 Gorgolewski et al. (2016), Pernet et al. (2019), EEG-BIDS update, Open benchmark practices U14
倫理・権利・法制度 Yuste et al. (2017), Ienca & Andorno (2017), MIND Act discourse (2025) U12, U15
熱力学・計算可能性 Seifert (2012), Kitazono et al. (2018), complexity reduction studies on IIT (2025) U10, U11

読む順序(実務向け)

  • 第1層: U1/U14(計測と再現性)を先に固める。ここが弱いと上位議論は全て不安定。
  • 第2層: U4/U9(因果と一般化)を介入ベースで検証し、模倣との差分を確立する。
  • 第3層: U10/U11/U12/U15(物理・同一性・制度)を、実証結果と接続して更新する。

科学的中心問いページ用テンプレ(推奨)

新しい技術提案や問いのページを作成する際は、以下のMarkdownテンプレートをコピーして使用することを推奨します。R0(復元対象)とV0(検証基準)を先に固定する思考フローを強制する構成になっています。

テンプレートを表示(クリックで展開)
## 科学的中心問いページ用テンプレ(全部入り・そのままコピペ可)

> 目的:**「R0(復元対象)とV0(検証基準)を先に固定し、その上でM0(計測)とI0(同定可能性)を議論する」**順序を強制するテンプレです。
> ※各セクションは“未確定なら未確定”と明記して進められる形にしてあります。

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# 0. タイトル

* **ページ題名**:
* **一文要約(結論先出し)**:

  * 「本ページは、____を____の基準で復元可能にするために、必要な計測要件(時空間解像度・観測変数)を同定する。」

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# 1. 中心問い(CQ)

* **中心問い**:

  * 「____を、どの時空間解像度で取得すれば、“復元すべき対象(R0)”が一意に近づくか?」
* **問いの焦点**(どれを主戦場にするか):

  * [ ] 観測変数の選定(何を測るか)
  * [ ] 解像度・カバレッジの下限(どの程度細かく/広く)
  * [ ] ノイズ・欠測・個体差の許容範囲
  * [ ] 因果(介入可能性)を含む同定

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# 2. 用語・スコープ固定(曖昧さ潰し)

* **対象種**:ヒト/動物(種:___)/シミュレーション
* **状態の範囲**:安静/課題中(課題:___)/睡眠/薬理介入
* **時間スケール**:ミリ秒〜秒/分〜時/日〜年
* **空間スケール**:細胞/カラム/領域/全脳
* **「復元」の意味**(直観ではなく定義で):____

---

# 3. R0:復元対象(最重要・先に確定)

## 3.1 何を復元するのか(対象の定義)

* **復元対象 R0**:

  * 例)構造(結線)/ダイナミクス(状態遷移)/機能(入力→出力)/記憶・方略/主観報告を含む自己モデル など
* **R0の出力形式**(最終的に何が出てくれば“復元”と言えるか):

  * 例)パラメータ集合、生成モデル、状態空間モデル、エージェント方策、シミュレータ など

## 3.2 同一性(同値関係)=「成功」の定義

* **同値関係(何が同じなら成功か)**:

  * 「____が一致すればR0は同一とみなす」
* **許容誤差**(どこまで違っても同一扱いか):

  * 指標:____、閾値:____

## 3.3 前提(R0に暗黙に含めている仮定)

* 例)脳はマルコフ的/観測可能な潜在状態が存在/学習可能な関数クラスで表現可能 等
* **仮定一覧**:

  * A1:____
  * A2:____
  * A3:____

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# 4. V0:検証基準(合否テスト)

## 4.1 何をもって「復元できた」と言うか(テスト設計)

* **検証タスク**:____
* **評価データ**:同一個体内/個体間一般化/条件外挿(反事実)
* **ベースライン**:____(例:単純モデル、既存手法)

## 4.2 指標(定量)と合格ライン(閾値)

* **主要指標**:____(例:予測精度、尤度、因果効果の一致、行動分布距離)
* **合格ライン**:____(閾値 or 比率)
* **再現性要件**:n=___、再現率___、事前登録の有無___

## 4.3 介入・因果を使う場合(推奨:可能なら入れる)

* **介入手段**:刺激/薬理/損傷/閉ループ制御
* **介入時の一致条件**:____(“応答が一致”の定義)

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# 5. M0:計測の前提(MEASUREMENT)

## 5.1 計測路線の前提(どれを想定するか)

* **想定**:

  * [ ] in vivo(非侵襲)
  * [ ] in vivo(侵襲)
  * [ ] 破壊スキャン(ex vivo / 将来像)
* **安全・倫理・スケール制約**:____

## 5.2 観測対象(何を測るか)候補リスト

* 電気:EEG/MEG/ECoG/単一・多点
* 血流:fMRI/fNIRS
* 光学:Ca imaging 等
* 構造:MRI/DTI/EM など
* **このページで主に扱う観測量**:____

## 5.3 期待する時空間解像度・カバレッジ

* **時間分解能**:____
* **空間分解能**:____
* **被覆範囲**:局所/広域/全脳
* **サンプリング制約(持続時間・回数)**:____
* **ノイズ床・欠測**:____

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# 6. P0:推定モデル/表現(モデル仮定を明示)

* **推定したい潜在表現**:状態空間/因子モデル/生成モデル/エージェント方策/コネクトーム等
* **学習パラダイム**:教師あり/自己教師/同化(data assimilation)/シミュレータ併用
* **必要な帰納バイアス**:____(例:低次元、スパース、対称性、解剖学制約)
* **計算資源・実装制約**:____

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# 7. I0:同定可能性(このページの“芯”)

## 7.1 主張(1〜2文で)

* **I0主張**:

  * 「R0を一意に近づけるには、観測量____を、時間____・空間____以上で取得する必要がある(少なくとも____が下限)。」

## 7.2 必要条件(下限:これが無いと無理)

* **必要条件(観測の最小セット)**:____
* **直観/根拠**:未観測自由度が残る/多対一写像になる/ノイズで不可分になる 等
* **“同定不能”の具体例**:____(同じ観測を生む別解が構成できる 等)

## 7.3 十分条件(上限:ここまで取れれば原理的に可能)

* **十分条件**:____
* **現実性**:今は不可能/将来可能性/代替案

## 7.4 失敗モード(重要:先回りで列挙)

* [ ] 多対一(別R0が同じ観測を生む)
* [ ] モデルミススペ(P0が間違っている)
* [ ] 介入不足で因果が切り分けられない
* [ ] 個体差で一般化が破れる
* [ ] ノイズ床・欠測で識別不能
* **検出方法**:____(どの指標で“失敗”と判定するか)

## 7.5 「一意に近づく」を測る尺度

* **一意性スコア**(候補):事後分布の集中度/同値類サイズ/識別距離 など
* **採用する尺度**:____

---

# 8. 戦略分岐(A/B/C)※例のまま使える形

> 各分岐は「M0の違い」だけでなく、**V0に到達する経路**と**I0を満たす見込み**を必ずセットで書きます。

## A:非侵襲(EEG/MEG/fMRI等)でモデルを鍛える

* **狙い**:____(例:大規模・長期データで汎化を稼ぐ)
* **M0**:____(解像度・カバレッジ・制約)
* **P0**:____(表現・学習)
* **V0への到達経路**:____(どのテストに通すか)
* **I0上のボトルネック**:____(何が同定不能になりやすいか)
* **この分岐で得る“判定情報”**:____(次の分岐選択に効く情報)

## B:侵襲(ECoG/深部/動物)で因果推論を強化

* **狙い**:____(例:介入で因果・同定を強める)
* **M0**:____
* **P0**:____
* **V0への到達経路**:____
* **I0上の改善点**:____(介入で多対一を潰す等)
* **外挿(ヒト一般化)の扱い**:____

## C:破壊的・超高解像度で構造を取る(将来像)

* **狙い**:____(例:十分条件側の上限を検討)
* **M0**:____(取得可能な構造情報)
* **P0**:____(構造→機能の写像仮定)
* **V0への到達経路**:____
* **I0の結論**:____(原理的に十分か/まだ不足か)

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# 9. 反証条件・停止規則(Stop rule)

## 9.1 全体反証(ページの根本を否定する条件)

* **反証条件**:

  * 「R0(復元対象)が定義されないまま計測だけ高級化しても、同定不能が解消されない」
  * 具体的には:____(同じ観測で別R0が構成できる、V0を通らない 等)

## 9.2 分岐別の停止規則(撤退ライン)

* Aの停止:____
* Bの停止:____
* Cの停止:____
* **ピボット条件**:____(A→Bへ、B→Cへ、等の判断基準)

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# 10. 次アクション(このページ内の優先順位を固定)

* **まず確定する**:

  1. R0(復元対象・同値関係)
  2. V0(合否テスト)
  3. I0(必要条件の下限主張)
* **今週やること**:____
* **次に書き足すセクション**:____
* **未確定の論点(質問リスト)**:

  * Q1:____
  * Q2:____

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## 付録:1ページで俯瞰する「要点サマリ」枠(任意)

* **R0**:____
* **V0**:____
* **M0**:____
* **P0**:____
* **I0結論(下限/上限)**:____
* **採用する分岐**:A/B/C(理由:____)
* **反証・停止**:____

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学習の順序(最短で全体像)

“順番”は重要です。計測に強くても、検証基準が曖昧だと前進を主張できません。逆に、検証だけが立派でも、復元対象が定義できていなければ実装が迷走します。

  1. 全体像:WBEロードマップ(大枠の工程・ボトルネック)
  2. 計測:どの解像度で何が失われるか(EEG/fMRI/侵襲/コネクトーム)
  3. 再構成:逆問題→状態推定→生成モデル→介入予測、の順で“反証可能な復元”へ
  4. 実装:モデル粒度を固定し、実行基盤差の影響を監査可能にする
  5. 検証:評価スイートと反証条件を先に書き、更新履歴を残す

先行研究リスト(拡張版)

以下は、U0-U15の未解決問題に直接関係する主要文献です。詳細な拡張一覧は Paper CollectionPerspectiveのReferences を併読してください。

A. WBE基礎・本人性・哲学

  1. Sandberg, A., & Bostrom, N. (2008). Whole Brain Emulation: A Roadmap.
  2. Yamakawa, H., et al. (2024). Technology roadmap toward the completion of whole-brain architecture.
  3. Parfit, D. (1984). Reasons and Persons.
  4. Whitehead, A. N. (1929). Process and Reality.
  5. Clowes, R. W. (2021). Slow Continuous Mind Uploading.
  6. Weber, C. (2025). The multiplicity objection against uploading optimism.

B. 意識理論・検証指標

  1. Tononi, G. (2015). Integrated information theory.
  2. Tononi, G., et al. (2016). IIT: from consciousness to its physical substrate.
  3. Albantakis, L., et al. (2023). IIT 4.0.
  4. Doerig, A., et al. (2019). The unfolding argument.
  5. Boly, M., et al. (2017). Front vs back NCC debate.
  6. Tsuchiya, N., et al. (2015). No-report paradigms.
  7. Casali, A. G., et al. (2013). PCI.
  8. Comolatti, R., et al. (2019). PCI-ST.
  9. Ferrante, O., et al. (2025). Adversarial testing of GNWT and IIT.
  10. Massimini, M., et al. (2005). Breakdown of effective connectivity during sleep.

C. 計測・逆問題・不確実性推定

  1. Michel, C. M., & Brunet, D. (2019). EEG source imaging review.
  2. Wipf, D., & Nagarajan, S. (2009). Unified Bayesian framework for MEG/EEG source imaging.
  3. Cai, C., et al. (2021). Robust noise estimation with Champagne. doi:10.1016/j.neuroimage.2020.117411
  4. Sechet, D., Kowalski, M., Mokhtari, S., & Torrésani, B. (2025). Revisiting CHAMPAGNE: Sparse Bayesian Learning as Reweighted Sparse Coding. doi:10.1109/SAMPTA64769.2025.11133512
  5. Vorwerk, J., et al. (2014). Head volume conductor modeling guideline.
  6. Medani, T., et al. (2025). Conductivity uncertainty in forward/inverse solvers.
  7. Logothetis, N. K. (2008). Limits of fMRI inference.
  8. Purdon, P. L., et al. (2013). EEG signatures of loss/recovery of consciousness.
  9. Boto, E., et al. (2018). Wearable OPM-MEG.

D. 前処理・同期・ネットワーク解析

  1. Chang, C.-Y., et al. (2018). Evaluation of Artifact Subspace Reconstruction.
  2. de Cheveigne, A. (2020). ZapLine.
  3. Vinck, M., et al. (2011). Weighted Phase Lag Index (wPLI).
  4. Staniek, M., & Lehnertz, K. (2008). Symbolic Transfer Entropy.
  5. Kothe, C., et al. (2025). Lab Streaming Layer for synchronized multimodal recording.

E. デコーディング・生成モデル・模倣分離

  1. Huth, A. G., et al. (2016). Semantic maps from natural speech.
  2. Tang, J., et al. (2023). Semantic reconstruction from non-invasive brain recordings.
  3. Horikawa, T., et al. (2025). Mind captioning.
  4. Ji, Z., et al. (2023). Hallucination survey in NLG.
  5. Manakul, P., et al. (2023). SelfCheckGPT.

F. 因果推論・能動的推論・反実仮想

  1. Friston, K. J., Harrison, L., & Penny, W. (2003). Dynamic causal modelling.
  2. Friston, K. (2010). Free-energy principle.
  3. Friston, K. (2017). Active inference: a process theory.
  4. Parr, T., & Friston, K. J. (2019). Generalised free energy.
  5. Laukkonen, R., Friston, K., & Chandaria, S. (2025). A beautiful loop.
  6. Correa, J. D., Lee, S., & Bareinboim, E. (2021). Nested counterfactual identification.

G. 生物学的制約(コネクトーム・神経修飾・グリア)

  1. Cook, S. J., et al. (2019). Whole-animal connectomes of both C. elegans sexes.
  2. Scheffer, L. K., et al. (2020). Adult Drosophila central brain connectome.
  3. Kasthuri, N., et al. (2015). Saturated reconstruction of neocortex volume.
  4. Santello, M., et al. (2019). Astrocyte-neuron interactions.
  5. Ozcete, O. D., et al. (2024). Neuromodulatory volume transmission.
  6. Gamlin, C. R., et al. (2025). Transcriptomic-connectomic linkage.

H. 標準化・再現性・倫理・制度

  1. Gorgolewski, K. J., et al. (2016). BIDS.
  2. Pernet, C. R., et al. (2019). EEG-BIDS.
  3. Fleming, S. M., et al. (2023). Open letter on IIT interpretability and testability.
  4. Yuste, R., et al. (2017). Four ethical priorities for neurotechnologies and AI.
  5. Ienca, M., & Andorno, R. (2017). New human rights in neuroscience.
  6. Schumer, C., et al. (2025). MIND Act discourse.

I. 熱力学・計算可能性・幾何学的評価

  1. Seifert, U. (2012). Stochastic thermodynamics and fluctuation theorems.
  2. Kitazono, J., Kanai, R., & Oizumi, M. (2018). Efficient algorithms for MIP in IIT.
  3. Complexity reduction studies on IIT via low-dimensional embedding (2025).
  4. Information geometric metrics for model distance (Fisher-based approaches).